季節に関係なく一年中高度な症状が続くため薬を継続して使用しなければならない場合、あるいは薬では効果がない場合などに手術が用いられます。
理想的な手術とは、腫れた粘膜を広範に切除するといった、あるいは下鼻甲介を骨ごと切除するといった破壊的な手術ではなく、鼻の中の構造や粘膜機能を保存したまま正常な空気の流れを取り戻し、“鼻水”や“くしゃみ”などの鼻粘膜過敏症の症状を軽減させることのできる方法です。
鼻の構造や粘膜機能を破壊することなく症状を最も効果的に改善することができる治療として、サージセンターでは、鼻炎症状を引き起こす主な部位である下鼻甲介に分布している副交感神経を遮断する手術を中心とした治療を行っています。 |
これまでの副交感神経切断術(ヴィディアン神経切断術)が涙の分泌障害といった副作用があったのに対し、1997年にサージセンターが独自に開発した手術は、副作用をきたさずにヴィディアン神経切断術と同様の効果を得ることを可能にしました。私たちが「内視鏡下後鼻神経切断術」と呼ぶ方法です。
この手術は、副交感神経が鼻に入る部分で太さ0.5mmほどの神経を確認し、伴走する動脈を保存したまま鼻炎症状を引き起こす神経だけを切断する方法です。涙の分泌障害もなく、動脈を保存することから術後の出血のリスクも少ないことが特徴です。
この手術は、“鼻水”や“くしゃみ”を改善させるだけでなく、“鼻づまり”に対してもある程度の効果が認められます。サージセンターのオリジナルの手術法として認知され、2007年に米国の医学雑誌に掲載されました。 |
副交感神経の切断だけでは、鼻詰まりに対しての効果が少ないことがあります。そこで最近では、美容整形外科で皮下脂肪を吸引切除するのと同じ装置を用い、粘膜上皮を保存したまま粘膜下の腫れた組織だけを切除する方法を併用します。
いわば、ぶどうの皮と種を残して中の身だけを除去してしまうような方法ですが、下鼻甲介周囲の通気性が改善するだけでなく、粘膜の下に新生組織の形成を促すことから、これがバリヤーとなって外からの物理的刺激が知覚神経に伝わりにくくするといった効果も期待できます。 |
この二つの手術の併用により、他のどんな治療でも改善しなかったひどい鼻炎症状の多くは劇的に改善します。しかし中にはあまり効果が見られない場合、効果が現れても徐々に症状が再発する場合、またアレルギーが関与している例では抗原との接触により一時的な症状を反復する場合など、効果の発現はさまざまです。
慢性鼻炎(鼻粘膜過敏症)は喘息同様にやっかいな病気で、現在のところ1回の治療で完治させる確実な治療法はありません。しかしながらここに述べた方法は、現存するどのような治療でも改善できなかった重度の症状に対しても優れた効果を示すことが多く、現在のところ最も効果の期待できる方法と考えています。 |