信頼関係の構築

 人の体を扱う医療においては、薬、検査、手術など、すべての医療行為において100%安全な方法は存在しません。その中でも手術は、最もリスクの高い医療行為です。にもかかわらず手術治療が選択される唯一の理由は、薬などの保存的治療では得ることのできない高い治療効果を期待できることにあります。

 病気に対するこの挑戦は、患者様とわれわれ医療側との二人三脚によって行われます。この前提となるのは、患者様と私たちとの“信頼関係”の存在です。

 信頼関係とは、ただ“任せておけば良い”といったものではなく、リスクを負ってまで病気を治したいといった患者様の強い「意志」と、私たちに治療をゆだねても良いといった患者様の「信頼」との両者が不可欠です。このいずれが欠けていても、私たちが最善を尽くせる状況を得ることは困難です。

 患者様の「意志」と「信頼」があって始めて、私たちも患者様と共に、患者様の病気を治療するためのリスクを負った挑戦へと踏み出すことが可能となるのです。

術後治療、とくに難治性疾患におけるテーラーメード治療の重要性

 手術治療は、1回の行為だけで完結するものではありません。例え1回の手術で完治できる病気であっても、鼻の中が正常な状態に戻るまでの間は術後のフォローアップが必要です。また近年では、1回の手術では完治させることが困難な、慢性鼻炎(鼻粘膜過敏症)、通年性アレルギー性鼻炎、好酸球性慢性副鼻腔炎など、難治性の鼻・副鼻腔疾患が急増しています。

このような難治性の病気に対しては、これまでの“薬か手術か”といった二者択一の治療概念や、また機能や形態を破壊することと引き換えに1回の手術で完治を目指すといった治療概念では、正常な鼻の機能を取り戻すことも、また維持することも困難です。

私たちは、保存的治療では効果の少ない難治性の鼻・副鼻腔疾患に対しては、1)鼻の機能と形態を保存したまま最も効果的に症状を改善できる低侵襲手術により、まず正常に近い鼻の機能を再獲得すること、そして、2)再発した症状に対しては、保存的治療や外来で行える手術を組み合わせて初回手術後の状態を維持することが、現時点における最善の治療法と考えています。

難治性疾患を抱えた患者様は生涯にわたり病気と向き合わなければなりませんが、最も効果的で後遺症のない低侵襲手術を基本とする新しい概念のテーラーメード治療(患者様一人ひとりに合わせた最適な治療法)により、正常に近い鼻の機能を生涯にわたって維持することは可能です。

全身麻酔を用いた短期入院手術

 私たちは、これまでの鼻の手術から切り離せなかった“痛み”と“入院”を排除し、全身麻酔も含めたすべての手術を「短期入院手術」として実施しています。

 私たちの治療システムは、前述した完治困難な難治性の病気を治療する上で、とくに意義があると考えています。なぜなら、“痛み”と“入院”を排除することにより小さなお子さんでも、多忙な方でも、あるいは痛みに弱い方でも、正常な鼻の機能の再獲得に向けた治療を最も負担の少ない形で受けていただけるからです。また正常な鼻の機能を取り戻しこれを維持できることは、患者様の人生を変えるほど大きな影響があると考えているからです。