ライノアカデミー 第3回
後篩骨洞の解剖―後篩骨洞を構成する骨構造について

 前回は、個々の蜂巣の換気排泄路からのアプローチを原則としたTargeted ESS(TESS)を行うために、“含気発育ルート”といった表現を用い、一般的に用いられている局在部位に基づく分類ではなく、蜂巣の発育経路を基準とした後篩骨蜂巣の分類ならびに基本的なヴァリエーションについて記述しました。今回は、後篩骨洞の内部あるいは後篩骨洞と隣接部位とを区画している骨構造について記述してゆきます。

 これまでの手術のような、眼前に出現した基板を穿破しつつ後方に向かって蜂巣を開放する手術ではなく、個々の蜂巣をその換気排泄路から開放するためには、篩骨洞の詳細な解剖についてより十分に理解する必要があると考えています。すなわちこのような手術を行うには、第二基板(bulla lamella)を穿破すると第三基板(中鼻甲介基板)が、あるいは第三基板を穿破すると後篩骨洞が現れるといった程度の理解では不十分であり、篩骨およびその周囲の骨構造について、頭の中でその立体構造を自由に組み立てることができるようなレベルまで理解する必要があると考えています。

  このようなことから、TESSにおける後篩骨洞の開放術式を述べる前に、後篩骨洞を構成している骨構造について解説したいと思います。第3回となる今回はまず、以下の設問を通して、後篩骨洞の骨構造についての理解を確認してみてください。これまで多くのESSを手がけ、解剖について精通していると思われる方も、是非挑戦してください。

【設 問】
 注)設問の中にある「骨板」は篩骨内部を区画している隔壁を、「骨」は頭蓋骨あるいは顔面骨を、また部位は頭蓋顔面骨の一部(例えば突起、稜など)を指す。

  Q01 後篩骨洞の前壁を構成している骨板は?
  Q02 中鼻道の天蓋を構成している骨板は?
  Q03 上鼻道底を構成している骨板は?
  Q04 上鼻道底を構成している骨板の外側縁は、前端部が篩骨眼窩板下縁と連結している。ではその後方において、この骨板と連結している骨およびその部位は?
  Q05 中鼻道側壁後半部を構成している骨およびその部位は?
  Q06 中鼻甲介基板の背面に形成される蜂巣―上鼻道蜂巣(第2回参照)―の底部を構成している骨板は?
  Q07 (後篩骨洞が単一蜂巣である場合を除き)上鼻道蜂巣の後壁を形成している骨板は?
  Q08 (後篩骨洞が単一蜂巣である場合を除き)上鼻道の天蓋を構成している骨板は?
  Q09 (後篩骨洞が単一蜂巣である場合を除き)上鼻甲介内部に形成される蜂巣
―上鼻甲介蜂巣(第2回参照)―の底部を構成している骨板は?
  Q10 上鼻道の天蓋を構成している骨板の外側縁が連結している骨およびその部位は?
  Q11 上鼻道の天蓋を構成している骨板の後端が連結する骨およびその部位は?
  Q12 上鼻道側壁を構成している骨およびその部位は?
  Q13 上鼻道の側壁の外側にある間隙は?
  Q14 後篩骨洞の天蓋を構成する骨およびその部位は?
  Q15 後篩骨洞の内側壁を構成している骨板は?
  Q16 後篩骨洞の内側壁を構成している骨板の後縁が連結する骨およびその部位は?
  Q17 後篩骨洞の外側壁を構成している骨板は?
  Q18 後篩骨洞の外側壁後縁が連結してる骨およびその部位は?
  Q19 蝶篩陥凹の天蓋を構成している骨およびその部位は?
  Q20 蝶形骨洞口のすぐ外側に連結している骨板は?
     
 設問を通して、後篩骨洞あるいはこれに隣接する骨構造についての理解度を確認していただけたかと思います。第4回では、設問の解答を通して後篩骨洞を構成している骨構造について解説したいと思います。
(文責:黄川田 徹)