ライノアカデミー 第4回
後篩骨洞の解剖―後篩骨洞を構成する骨構造(その2)

 今回は第3回に提示した後篩骨洞についての設問の解答と共に、とくに把握しにくい部位に焦点を当て、詳細に後篩骨洞に関連する骨構造について解説したいと思います。下記の番号は、前回の質問番号と一致しています。

 1)
 後篩骨洞の前壁を構成している骨板は、中鼻甲介基板垂直部である(図1)。
 2)
 中鼻道の天蓋を構成している骨板は、中鼻甲介基板水平部である(図1)。
 3)
 上鼻道底を構成している骨板は、中鼻甲介基板水平部である(図1)。

図1) 後篩骨洞(右)を構成している骨構造を示すCG。

 4)
 中鼻甲介基板水平部の外側縁は、前端部で篩骨眼窩板下縁と、またその後方は、前半部が上顎骨鼻腔面上縁と、後半部は口蓋骨垂直板鼻腔面の篩骨稜と連結する(図2)。
 5)
 中鼻道側壁は、口蓋骨垂直板鼻腔面の鼻甲介稜と篩骨稜とに挟まれた部位によって構成されている(図2)。
 6)
 上鼻道蜂巣は、上鼻道から中鼻甲介基板の背面あるいは篩骨眼窩板に沿って形成される蜂巣であり、したがってこの蜂巣の底部は中鼻甲介基板水平部である(第2回図1A~C参照)。
 7~9)
 後篩骨洞は上鼻道由来の蜂巣と、例によっては最上鼻道由来の蜂巣から構成される。上鼻道由来の蜂巣には、基本的に上鼻道前端部と連続する蜂巣と、上鼻甲介内部に形成される蜂巣の二つが存在する(第2回図1A~C参照)。両者を区画している隔壁は上鼻甲介基板であり、したがって後篩骨洞が単一蜂巣である場合を除き、上鼻道蜂巣の後壁は上鼻甲介基板垂直部である。また上鼻甲介蜂巣の底部は、上鼻甲介基板水平部によって上鼻道と区画されている。後篩骨洞に最上鼻道由来の蜂巣が加わる場合は、上鼻道由来の蜂巣と最上鼻道由来の蜂巣とは最上鼻甲介基板によって区画される。
 10~11)
 上鼻道の天蓋を構成している骨板は上鼻甲介基板水平部であり、このの外側縁は、前方では篩骨眼窩板の下縁付近に、また後方は口蓋骨眼窩突起の篩骨面下縁と連結している(図2)。
 12~13)
 上鼻道は、中鼻甲介と上鼻甲介の基板水平部に挟まれた部位である。この外側壁の前半部は、上顎骨の鼻腔面と眼窩面との間にある傾斜面に接合する。また後半部は、口蓋骨垂直板鼻腔面の篩骨稜と眼窩突起の篩骨面とに挟まれた面と接合する。したがって、上鼻道の外側には上顎洞が存在する(図2)。

   図2) 上顎骨(白)と口蓋骨(緑)の鼻腔面。
中鼻甲介基板水平部外側縁の付着部(赤破線)と、
上鼻甲介基板水平部外側縁の付着部(青破線)を示す。
 14)
 後篩骨洞の天蓋は、篩骨篩板がはまり込む前頭骨の篩骨切痕の辺縁部が重なって、閉鎖される。
 15~16, 19~20)
 後篩骨洞の内側壁は上鼻甲介捲板である。最上鼻道由来の蜂巣が発育している例では、これに最上鼻甲介捲板が加わる。この後縁は、蝶形骨体前面の上外部(superolateral depressed area)と下内部(infromedial, smooth, triangular area)の境界部に連結する。上外部は篩骨後面が接合する領域であり、下内部は蝶篩陥凹の天蓋に相当する領域である。両者の移行部の上端付近に蝶形骨洞口が形成される(図3)。
 17~18)
 後篩骨洞の外側壁は篩骨眼窩板である。またこの後縁は、蝶形骨体前面の上外部外側縁に連結する。この上端部外側に接して視神経が走行している(図3)。
図3) 蝶形骨前面。篩骨および口蓋骨との関係を示す。

 次回(第5回)は、後篩骨洞に発育する蜂巣の発育起点である上鼻道および最上鼻道からアプローチする術式について、解説する予定です。

(文責:黄川田 徹)