いびきと睡眠時無呼吸症候群
いびきはこれまで耳鼻咽喉科医が積極的に治療の対象としてこなかったことは間違いありません。それは患者様が自分自身の問題として深刻には考えていないことが原因でした。あくまでもいびきの評価は周囲の人々の印象によって変わります。
しかし、最近では耳鼻咽喉科外来でもいびきを主体に訴えて来院するケースが増えたように思われます。家族、同僚よりの指摘や自分自身で気づくことで受診されます。また、いびきに伴って生じる無呼吸発作が心配で受診される方も、社会情勢を反映して確実に増加しています。
いびきの原因
いびきは睡眠時の異常雑音です。上気道の一部が狭くなり、呼吸の際に粘膜が振動することによって音が発生します。約75%は軟口蓋レベルに音源が認められています。その他、鼻腔、口蓋扁桃、舌根、喉頭に振動源があるといわれています。吸気時および呼気時ともに認められます。また、口を閉じている時も開いている時もいびきは発生します。
いびきが治療対象となるのはあくまでも周囲の方々の判断によります。音に対する感受性は皆さんそれぞれ違い、何デシベルの音以上が治療の対象という訳でもありません。小さくても周りの方が迷惑であれば治療の対象となります。したがって、受診理由で最も多いのは、パートナーからの指摘によるものです。また、いびきの音は気にならないが無呼吸発作を伴っているので心配だと受診する方も多く見受けます。
睡眠時無呼吸症候群 Sleep Apnea Syndrome
いびきと無呼吸発作を両者認める方がいます。10秒以上の呼吸停止を無呼吸と言います。また、1時間あたり5回以上の無呼吸発作が認められると、無呼吸症候群の範疇に入ります。その無呼吸様式の違いにより、閉塞性、中枢性、混合性の3つに分類されます。
睡眠中の症状として、閉塞性ではいびきは必発の症状です。当然ですが無呼吸中には起こらないが、換気再開時に強烈な音が生じます。その後数回のいびきが連続して起こった後、再び呼吸が止まります。即ち、無呼吸に続くいびきが周期的に繰り返されるといった特徴があります。
中枢性では、閉塞性ほどいびきは強烈ではありません。閉塞性では昼間の過眠が強く、中枢性では夜間の不眠が強いと言われています。実際には両者ともに過眠が強いと思われます。その他、睡眠時の体動が強い、夜尿、インポテンツ、多汗などの症状が知られています。
起きている時の症状では、睡眠不足による昼間の傾眠が見られます。大部分は自制範囲内の眠気ですが、中には耐え難い強烈な眠気を訴える方がいます。待合室で寝てしまった患者さんを経験しています。
起床時の頭痛、口腔乾燥感、咽頭痛を訴える患者さんは多いようです。中には精神症状を併発する可能性が指摘されています。 睡眠時無呼吸症候群の合併症として高血圧があげられます。無呼吸の治療によって速やかに軽快します。
狭心症、心筋梗塞および脳梗塞が無呼吸のない患者さんよりも高率に発症することが言われています。 軽症から重症まで分けられ、中等症以上ではCPAP療法が第一選択となります。軽症の場合は無呼吸としては経過観察ですが、いびきの治療を選択します。